逆イールドはFXやバイナリーオプションに影響する?【初心者】

ジロージロー

あかねちゃんは、逆イールドって言葉を聞いたことがあるかな?


あかねあかね

逆イールド?ううん、初めて聞いたよ。逆イールドってなに?


ジロージロー

逆イールドは各国や投資家たちが注目する経済指標の一つなんだ。世界経済の景気後退の予兆のサインともいわれているんだよ。8/14にその逆イールドが成立してしまった。なので、最近逆イールドに関してトレーダーたちは敏感になっているんだね。じゃあ、その逆イールドとは何か。そしてFXやバイナリーオプションにどう影響するのかを簡単にだけど、共有していこうと思うよ。

逆イールドについて簡単に私の知っていることを伝えます。FXやバイナリーオプションのトレードに直接大きく関係するかどうかだけが知りたい方は、一番下の「逆イールドはFX、バイナリーオプションに影響するか」を見てください。

何故、今逆イールドが話題になっているのか

「逆イールド」という言葉は、色々な投資家やエコノミストなどが注目している世界経済のリセッション(景気後退)のサインと言われています。逆イールドのサインが出た後は、1年~2年後にリセッション(景気後退)が訪れています。

トレードをしている方は、リセッションという言葉を耳にしたこともあるでしょう。要人発言などでたまに出てくるものですね。

リセッションは景気後退の事ですが、過去7回のリセッション(景気後退)では毎回、債券市場で今回の逆イールドと言われるアメリカ国債の長短金利逆転という前兆が見られていたというのです。

逆イールドは景気後退のサイン日経新聞

日本経済新聞より出典

上図の赤丸の部分が逆イールドが発生した部分。グレーのゾーンがリセッション(景気後退)時期です。アメリカ国債の逆イールド後のリセッション(景気後退)で有名なのは、2000年2月以降のITバブル崩壊、2008年9月のリーマンショックです。

先日2019年8月14日に、2007年以降で初めてアメリカの10年物国債が2年物国債の利回りを下回ったことで、ブルームバーグやロイター、日経新聞など世界中の金融・経済メディアなどで報道され、投資家やエコノミストなどもこぞって世界の金融市場全体に警鐘を鳴らしています。ダウ平均は800ドル安となり年最大の下げ幅にもなっています。

逆イールドは具体的にどうして景気後退に繋がる?

逆イールドは具体的にどうして景気後退に繋がる?

逆イールドとはどういう現象の事か

逆イールドとは、短期債券の金利が急騰し、長期債券の金利を上回った状態の事を表します。

この逆イールドの中でも、特にアメリカの2年物国債(短期)の金利が、10年物国債(長期)の金利を上回った状態が、過去の事例を見てもリセッション(景気後退)の前兆ともいわれています。

2年物国債(短期)の金利が、10年物国債(長期)の金利を上回るのは変なのか?

では、この逆イールド。2年物国債(短期)の金利が10年物国債(長期)の金利を上回るのがおかしいのでしょうか。

ジロージロー

国債は、その国が発行する債券のことで、国が証券を発行してお金を借りるという方式。簡単に言うと「期限付きの国の借金」の事だね。

今回の場合はアメリカ合衆国ですが、その国債を発行する時に、償還期限(お金を返してくれる期間、今回の場合は2年と10年)と利率が決まっています。

国が元本や利子の支払いを保証してくれる為、色々ある金融商品の中で安全性が高く、国が破綻しない限り貸し倒れもありません。

なので、世界中の投資家は国債を安全な資金運用手段と考えています。

通常は国債の償還期限が長ければ長いほど、利率は高くなります。

これはなぜかと考える上で、人と人との話に例えてみます。ジローがあかねちゃんにお金を貸す場合の事を考えてみてください。

あかねあかね

パターン1)ジローさん、2年後に返すから100万円貸してほしいな。
パターン2)ジローさん、10年後に返すから100万円貸してほしいな。

この時、どちらのほうがジローのリスクは高いでしょうか。利率はリスクに対して決まってきます。

ジローにとってのリスク

リスク1)100万円が返ってこないかもしれないこと。(貸し倒れリスク)
リスク2)100万円貸してしまうと、ジローが100万円で投資できるはずだった事ができなくなる。(機会損失)

2年よりも、10年のほうが返ってこなくなるリスクが高くなります。10年もあれば、あかねちゃんは結婚したり何かしらイベントがあるでしょうから、関係性もどうなってしまうかわかりません。

また10年間の間に、元手の100万円を他の投資や家などの購入に充てることでジローさんは利益を生み出せる可能性があります。なので、通常は、

ジロージロー

2年後の場合は、利子も付けて102万円にして返してね。でも、10年の場合は110万円じゃないと厳しいな。

となるわけです。しかし、今回の逆イールドでは、この2年国債のほうが10年国債よりも利子が高いという状況になってしまっているわけです。普通に考えると、アベコベになってしまいおかしい状況になってしまっているんですね。

この逆イールドについては好景気終了時など、国がバブル崩壊などを見据えて短期金利を引き上げ。投資家は金融緩和などを見込んで長期金利を買う事などによる、長期金利低下等、中央銀行や機関投資家が共にリセッションを視野に入れた動きを見せているとされ、リセッション(景気後退)のサインとして受け取られています。

逆イールドが起こると、何故リセッションに繋がるのか

これは、風が吹けば桶屋が儲かる。と同じような考え方です。

もちろん完全にその通りになるわけではないでしょうが、金融側での逆イールドという事象が、実体経済まで時間をかけて浸透していってしまい、時間差でリセッションが発生すると考えられています。

  1. Step1.長期国債金利は住宅ローンの金利の参考に、短期国債金利は銀行の預金に対する金利の参考になっている。この、差額がなくなってしまうと預金を預かっている銀行が、集めたお金を貸し出しても利益を出せなくなってしまう。
  2. Step2.銀行株の株価が下がる。銀行は、お金を貸すことで利益を上げられなくなってくる為に、貸し渋りをしだしてくる。貸し倒れリスクを回避する為に、信用の高いところにしかお金を貸さなくなる。
  3. Step3.特に中小企業など、資金繰りが厳しくなってきて、事業継続が出来なくなる可能性が高まる。
  4. Step4.ますます景気が悪くなってくる。リスクが高い金融商品も下落してくる。場合によっては暴落していく。
  5. Step5.体力が少ない金融機関などが倒産していく。

といった具合です。

こういった負のスパイラルが金融や経済レベルではなく、実体の経済まで影響を及ぼしていく恐れがあるとされています。

これらの理由もあり、各国や機関投資家は先を見越して行動を起こしていき、リスクオフにどんどん向かっていってしまい、時間差でリセッション(景気後退)に繋がっていく。ということです。

 

神王TVチャンネルが逆イールドをわかりやすく解説してくれている

この逆イールドについて、youtubeチャンネル「神王TV」でわかりやすく解説をしてくれています。チャンネル登録者数は10万人を超えている人気チャンネルの為、FXトレーダーで見ている人も多いかもしれません。

この動画以外にも、さらに逆イールド関係に関するつっこだ内容や、為替チャートを分析している動画、わかりやすくファンダメンタルズに関する解説をしてくれている動画が多数上がっていますので、文字よりも動画でFXや相場について学びたいという方は一度見てみることをおすすめします。

逆イールドはFX、バイナリーオプションに影響するか

逆イールドはFX、バイナリーオプションに影響するか

リセッション(景気後退)の前兆サインとも言われているこの逆イールド。

実際にFXやバイナリーオプションでトレードをしている個人投資家にとってどの程度関連があるのか。あくまでも個人的な見解ですがやそういったところについて簡単に触れていきたいと思います。

私は直接的に、短期のFXトレードやバイナリーオプションにおいて、トレード自体に大きく影響があるわけではないと考えています。

ただし、まず共通して言えることは、引き金となる事件はどのタイミングになるかわからないという事です。
現時点で、逆イールドという過去のリセッション(景気後退)の前兆となるサインが出ている状況で、向こう2年以内に何かしらが発生する可能性がある、というのは念頭に入れておく事が資産を守る1つの方法です。

こちらは、リーマンショックの際、リーマン・ブラザーズが倒産した2008年9月15日のドル円のチャートです。ドル円相場は、約3ヵ月の期間で1ドル104.21円から1ドル87.13円まで約1700pips、17円近くも急落したのです。

リーマンショック時のUSDJPYドル円暴落チャートFXで億り人から出典
FXで億り人サイトから出典

まずは、こういった事態が発生する可能性があるという事を頭に入れておきましょう。

裁量でFXトレードをしている場合

世界中の投資家が逆イールドを意識しているという事もあって、何かしらのネガティブなニュースやファンダメンタルズの要因によって、強いトレンドが発生する懸念があります。

現在まで以上にテクニカル分析も意味をなさず発生したトレンドが止まらない。といったケースがどこかで発生する可能性を念頭に入れておく必要があるでしょう。また、急騰・急落などでボラティリティが非常に強くなる恐れもあります。

FXの場合は、売買による差益を利益にするトレードの為、相場の大きな変動は資金の増減に大きく関わってくるので、ロット管理や資金管理には十分注意しておいたほうがいいです。

逆イールド後、FX裁量トレーダーが意識すべきこと
  • 常にストップロスを設定してトレードをする。
  • 週末などでポジションを持ち越す場合はロットを調整したり、持ち越さないなどの工夫をする。
  • 利益分などはこまめに出金しておく

この辺りは結局普段のトレードから重要な事ですが、ハイレバレッジでトレードをしている方においてはより注意をしておいたほうがいいでしょう。

また、「一番下の利益分をこまめに出金する」というのは、FX会社側もリセッション(景気後退)の影響を受けて経営に問題が生じる可能性があるというリスクも考慮してという事です。

海外FX会社を利用してハイレバレッジでのFXトレードをする上で、ゼロカットシステムでマイナスになることはありませんが、利益分などが出金できないとなっては元も子もありません。日本のFX会社のように信託保全がしっかりしていないFX会社もありますので、絶対はないと考えて行動をしていくことを推奨します。

トレード自体で特に注意したほうがいいのは、逆張りトレードをしている方です。強いトレードが発生した際に、ナンピンでのトレードをしてしまうと一気に資金が焼き付いてしまう恐れがあります。

今回の逆イールドを機に、計画的にトレードをするという事をより意識していきたいですね。

FXをEAによる自動売買で動かしている場合

EAを利用してFX自動売買を行っている方も、基本的には裁量トレードと同様になるのではないでしょうか。

逆イールド後、EAによる自動売買を利用するうえで意識すべきこと
  • 自分が使っているEAがどういうタイプのEAなのかをしっかり確認する。
  • 週末などでポジションを持ち越す場合はロットを調整したり、持ち越さないなどの工夫をする。
  • 利益分などはこまめに出金しておく

EAと言っても、様々な種類があります。逆張り、順張り。利確・損切幅。トレードロットの割合や、ポジションをどのくらい保持するのか、スキャルピングタイプか、デイトレタイプか、スイングタイプか。トレード感覚は?トレンドに強いタイプなのか、弱いタイプなのか。などです。

使っているEAの特性を把握しておくことで、ファンダメンタルズ要因での大きな変動時のリスクも予め予測することができます。

また、相場の大変動が発生した場合はFX会社も自社のリスクを抑える為にスプレッドが大きく広がることも予測されるので、週末の持ち越しやストップロス設定なども注意しておくといいかもしれません。

FX会社のリスクも同様で、利益分はこまめに出金しておくなどは意識しておくことをおすすめします。

バイナリーオプションのトレードの場合

バイナリーオプションについては、短期トレードになりますしトレード自体に大きな違いはないと考えています。

逆イールド後、バイナリーオプションをするうえで意識すべきこと
  • 逆張りをする場合はトレンドが発生した場合は冷静にトレードをすること
  • バイナリーオプション会社の動向には十分注意する
  • 利益分などはこまめに出金しておく

バイナリーオプションは相場が一定時間後に上がるか下がるかを予測するトレードになりますので、投資金額以上の損失を出すことはありません。(バイナリーオプションについて初心者向けの記事はこちら)

なので、トレードについての注意事項としては普段と同様で逆張りトレードの場合はトレンド発生時に熱くなってトレードをしない事です。

最も注意が必要な点としては、やはり会社リスクでしょう。リセッション(景気後退)によって、バイナリーオプションのトレード自体に影響はなかったとしても、利用しているバイナリーオプション会社の経営状態に悪影響が起こってしまうとなると話は変わってきます。

NDD方式のFXと違い、バイナリーオプションは会社とトレーダーの相対取引です。その為、経営状況が悪化してくるとトレーダーにとって不利な状況が発生するという可能性が出てきます。

そのあたりには常にアンテナを張っておき、敏感になっておくことをお勧めします。資金もある程度はこまめに出金するような癖をつけておくことで、リセッション(景気後退)が発生した場合も大きな影響は受けないと考えています。

あかねあかね

なんか、いよいよ投資…世界経済の勉強になってきたね。わくわくするけど、どうなっちゃうんだろう。心配だね。


ジロージロー

そうだね。ただ、日々のトレードについては大きく変わらない。より、自分のトレードを見直していこう。テクニカル分析は重要だけど、こういったファンダメンタルズの動向も勉強していくのもトレードの楽しみの1つだね。