【初心者向け】イギリスのEU離脱問題(brexit)は為替相場にどう影響してくるのか?

あかねあかね

ジローさん、最近ニュースでもよくやっているイギリスのEU離脱問題って、バイナリーオプションのトレードにどう関係してくるの?


ジロージロー

茜ちゃん、ニュース見てるね♪世界中が注目しているこのイギリスのEU離脱については、離脱するかどうかだけじゃなくて「合意された離脱」か「合意なき離脱」かによってイギリスや世界経済に大きな影響を与える問題なんだ。


あかねあかね

「合意された離脱」と「合意なき離脱」?


ジロージロー

うん。色々複雑な問題なんだけど、できるだけわかりやすく説明していくね。

イギリスのEU離脱問題について、テレビや新聞、インターネットニュースでも大きく話題になっています。

2016年6月23日に国民投票により「EU離脱」が可決され、当初は2019年3月29日にイギリスはEUから離脱をする予定でした。

しかしそう簡単に物事は進まず、このブログを書いている現在は4月12日まで一時的に期間が伸ばされて、今後どうなっていくのかが見えていません。

バイナリーオプションやFXでトレードをしている方はお分かりかもしれませんが、この離脱問題を巡って為替相場も大きく動いている状況になっています。

特に、イギリスの通貨であるGBP(ポンド)を含む通貨ペアについては大きく影響してきます。

元々大きく動いており、FXで短時間で大きく利幅を得ることができる可能性があり人気の高いGBPJPY(ポンド円)に関しては1日の間に上下2円(約200pips)近く変動をしていたという状況です。

このイギリスのEU離脱問題は何故ここまで注目されているのか。

そして、為替の相場にどう影響してくるのかをできるだけ初心者にわかるように見解を載せていこうと思います。

【初心者向け】EU(欧州連合)とは何か?EUに参加していることのメリット

まず初めに、EUが何かを知っておいたほうがいいでしょう。

EUとはEuropean Unionの略で欧州連合といわれていて、ヨーロッパの地域統合体です。

ヨーロッパという広い地域の中で、それぞれの国が場所柄や特性を持っていて得意な領域も様々です。

その地域でチームを作ったという事です。

EUってなに?欧州連合_バイナリーオプションFX

イメージとしては、サッカーチームなどを連想してもらうといいでしょう。

高い技術力を持ち工業が盛んで人口も多いドイツ、酪農や農業が盛んなオランダやスイス、パスタや料理・ファッションでも有名なイタリア、航空機や農業・芸術・観光が盛んなフランス、日本と同じく島国でエネルギー資源・金融・サービス・水産業に強いイギリスなど。様々な国があります。

トレードで利用されているEUR(ユーロ)はこのEUで共通で利用されている通貨の事で1995年から導入。

イギリスは1973年に加盟していて、現在ユーロは28か国が加盟しています。

周りが全部海の日本で育った私たちはあまりなじみがないのですが、ヨーロッパは国と国との境目も陸続きが多く、それが故に戦争だけでなく、貿易などの競争についても争いが絶えなかったのです。

そんな中かつての世界大戦を起こしたフランスとドイツが中心になって、二度と戦争を起こさないようにという事もありEUを組織したといわれています。

このEU(欧州連合)のメリットをまとめると、

EU(欧州連合)のメリット

メリット1
人やモノが自由に行き来できる

メリット2
ヨーロッパ全体がひとつになり、平和と共存が実現

メリット3
垣根がなくなったことによって経済・技術の発展に繋がる

メリット4
軍事力も同盟によって強い力を持つことができる

などがありますが、今回注目していただきたいのが、メリット1の「人やモノが自由に行き来できる」という事です。今回のイギリスのEU離脱問題における問題点とも深くかかわってきます。

EUのメリットの一つは「人やモノが自由に行き来できること」

国と国との間で貿易(モノを輸入、輸出する事)をする場合、通常は関税という税金がかかります。

ニュースを見ていて、よくわからないなと思って流し見いる中で、「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で関税が下がります」や「アメリカが中国への報復処置として関税を上乗せします」などなんとなく聞いたことがあるかもしれません。

この関税が実は各国自体やその国の人々の生活に実は大きく関係しています。なのでニュースでも大きく取り上げられるんですね。

例えば、日本からEUの加盟国に自動車を輸出する時は、どの国に輸出しても一律で10%の関税がかかります。

しかし、EUに所属する国は関税同盟が結ばれていて、EU内の加盟国同士でのモノの行き来については、関税は一切かかりません。

ヨーロッパ内での自由貿易を生み、人やモノなど資源を自由に行き来させることによって、一緒に成長していこうという連合だという事です。

EUが連合であるという事は色々と各国にとっていいことがあったという事です。

確かに色々な個性がある国同士が仲良くやっていくほうがみんな平和でいいよね♪
そうだね、ただ同盟についてはいいところばかりでもなかったっていう事なんだ。

【初心者向け】EU離脱問題brexit(ブレクジット)のきっかけは?

EU離脱問題のきっかけって_FXバイナリーオプション_為替

ここまで見ると、EU(欧州連合)はいいことばかりに見えます。
ただし、様々な国が共同体になるうえでは当然デメリットも存在するという事です。

EU(欧州連合)のデメリット

デメリット1
EUの国の中での格差が出てしまう

デメリット2
人が自由に行き来できるがゆえに移民問題が発生する

デメリット3
ユーロに通貨が統一されたことによって、景気のコントロールが難しい

デメリット4
EUの組織自体に透明性を確保することが大変

メリットがあればデメリットがあったという事です。
EUの決定によって、いいことがある国とそうでない国がどうしても出てしまうということでしょう。

そのような中、イギリスでは2016年6月23日にEUへの残留か離脱かをめぐって国民投票がありました。

これは、その当時トレードをしていてチャートを見ていた人は記憶に新しいのではないでしょうか。

その時の国民投票の結果がこちら。

イギリスEU離脱問題投票結果_イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票ウィキペディアより引用
イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票ウィキペディアより出典

「EU残留派」と「EU離脱派」の投票数が最後の最後までもつれ込み、最終的には離脱派が51.89%と過半数を占めてイギリスのEU離脱(Brexit)の方向に舵がきられることになりました。

ただし、スコットランド地域、北アイルランド地域は残留を希望しているところが多いことがわかります。この辺りが、現在のEU離脱問題にも関係してきます。

ちょうど半分半分ほどになってしまった国民投票の結果ですが、イギリスの中でこういったEU離脱を希望する動きが強まったのは2016年に始まったことではなく、国民投票2013年頃からのようです。

その原因の多くは、EUからの移民増加による国民の不安。
そして、リーマンショックから連鎖的に発生したEUの債務危機のせいではないかと言われています。

移民問題に関しては日本では正直感じることができませんが、治安問題や雇用に関する部分ではないでしょうか。イギリスも格差社会が広がっていることもあり、離脱で状況を変えたいという人が増加していたと推測します。

EUから離脱するという選択は過激な選択であり、世界は残留するだろうという目で投票を見ていたところがあったはずで、そこから接戦でEU離脱派が過半数を占めたことにより、GBP(ポンド)が急落。

イギリスEU離脱問題投票結果を受けたGBPJPYの下落

その国民投票時のGBPJPYの4時間足のチャートがこちらです。

1日の間で約29円(2900pips)の下落を見せています。

EUからの離脱が決定したのに何故予定通り離脱しない?「合意なき離脱」とは?

いずれにしても、2016年6月23日の国民投票の段階でイギリスはEUから離脱をすることが確定したわけですが、ここにきて何故当初の予定通りに2019年3月29日に離脱しなかったのでしょうか。

それは、
イギリスがEUを離脱するうえで、離脱後の移行期間における内容等を決めた欧州連合(EU)離脱協定案の主要部分をめぐるイギリス議会内の採決で、内容に反対する表が多数で、イギリス⇔EU間で移行期間における取り決めが決まっていないからです。

離脱をする派の中でも、移行期間など不要で強硬的に離脱をしたい派、穏便にEUとの協定案を守り離脱をしたい派がいる。残留したい派もまだいる。そういったことでイギリス内で揉めているのだろうと私は理解しています。

EU側としては、あとはイギリスに任せる。という状況のようですね。

離脱をするという事はイギリス議会内でも決定していて、その期限が現時点では4月12日となっています。

なので、「合意なき離脱」とは、このままいくと、4月12日にイギリスとEU間での移行期間等の取り決めに合意がないままイギリスがEUを離脱するという事になります。

その欧州連合(EU)離脱協定案には関税同盟をどうするか。欧州司法裁判所の管轄から外れるか。
という大きな問題が含まれています。

何故イギリス内部で「合意」がされないのか?

何故イギリス議会でEU離脱協定案が合意されないのか

 

色々な問題があることが想像できますが、大きな原因の1つに北アイルランドとイギリス本土との関係があります。

先ほど紹介した2016年に行われたEU離脱国民投票の投票結果にもありましたが、イギリスは

こちらの図を見ていただきたいのですが、日本で言うイギリスは赤い線で囲まれている部分の、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドが合体している王国の事です。

イギリスとアイルランドの関係_アイルランド問題年表世界の歴史まっぷから引用
イギリスとアイルランドの関係_アイルランド問題年表世界の歴史まっぷから出典

イギリスと呼ぶのは日本だけで、正式には「グレート・ブリテン」または「北アイルランド連合王国」。

略して、連合王国で英語にすると「United Kingdom」=UKと呼ばれています。

左側の島の北側、北アイルランドが独特の地域であり、宗教的な事情があるのです。
というのも、イギリスはキリスト教のプロテスタントが主流で、アイルランドはカトリック系。

北アイルランドはプロテスタントが多く、カトリック教徒が差別されていました。

同じキリスト教だと感じるのですが、宗教上の対立は私たち日本人の想像をはるかに超えるもので、過去には北アイルランドに残留していたカトリック教徒はアイルランドとの合併を強く求め、テロなどに発展する事件も多く発生していたのです。

そのような中、アイルランドとイギリスがどちらもEUに加盟したことによって、同じEUの中で人やモノが自由に行き来できるようになって平和が訪れました。

これが、イギリスがEUを離脱をすることによってまたアイルランドと北アイルランドに明確な国境が引かれ検問所ができ人モノの移動が制限されることになります。

それによって、またテロなどの事件が発生するのではないかという懸念が出てきたのです。

それはEUもイギリスも本意ではない。

その為、EU側は、
北アイルランドをアイルランドと同様EUに残したままイギリス本土だけEUから離脱してはどうか?

という、事実上のアイルランド海に国境を引くという案を持ってきた中で、メイ首相はイギリス国内を守るためにそのEU案を否定したなどの経緯もあります。

EUとの合意を得られないままにEU離脱の日が来てしまった。という事です。

イギリスが「合意なき離脱」をすると何が問題なのか?

中でも大きな問題になっているのが、EU(欧州連合)では発生しなかった「関税」が離脱をきっかけに発生してしまう事です。

当初は2019年3月29日にイギリスはEUから離脱するけれども、2020年末までは移行期間という事で従来の関税なしなどの処置がとられるなどの方針がありました。

欧州連合(EU)離脱協定案にこの辺りの内容が盛り込まれているようです。

ヨーロッパ各国で今まで関税がなく取引されていたモノがあり、そのモノを扱う企業がイギリス国内にもあります。

そのモノたちに突然関税がかけられるとしたらどうでしょう。
大混乱が予想されますし、イギリス以外に本拠地を持つ企業に関してはイギリスから撤退することも考えられます。

そうなると、その企業の雇用はなくなり製品は流通しなくなってしまう。
離脱をしたところから、イギリスは孤立してしまうという状況になってしまいます。

日本企業にも大きく影響することが考えられ、2~3年は混乱が続く。すなわち世界経済にも大きく影響するということになってしまうわけですね。

為替にも少なからず影響が出てくるでしょう。

 

実際にイギリスが「合意なき離脱」になった場合バイナリーオプションやFXトレードにどういった影響があるのか?

どちらかというと、バイナリーオプションよりもFXに強い影響があるといえます。

現在の状況では、イギリスの中でどういった決定になるのかが不明確であり、これからの期間での決定内容によっては大きく方向性が変わる可能性があります。

2016年6月23日のイギリスEU離脱問題(Brexit)国民投票の日のように、誰もが想像できなかったことが決定されてしまうと、為替相場は大きく変動します。

問題は渦中のイギリスの通貨であるGBP(ポンド)だけにはとどまらず、ユーロの共通通貨であるEUR(ユーロ)、世界の基軸通貨であるアメリカのUSD(ドル)、安全資産と言われている日本のJPY(円)。

そして他の国々のチャートに影響があると思います。
特に、世界経済に不安がある状況。

例えば、合意がなくイギリスがユーロを離脱することになると、GBP(ポンド)やユーロ(EUR)が売られ、安全資産であるJPY(円)にお金が流れると推測されます。

するとJPY(円)の価値が上がる=円高になる。

円高は日本の株価とも連動するといわれているので株価が下がる。

株価が下がると各会社にとっての影響も出てくる。

など、色々な分野に影響が出てきます。

なので、FXをもしやっている方であれば、
・しばらくの期間はロットを減らしておく
・追証が発生しないようにトレードをスクエア(全部決済)しておく
・追証が発生しない会社(海外のAxioryやTitanFX、XMなど)を利用する

などでリスクを減らしておくのも1つの手です。

バイナリーオプションについては、トレードをする額は都度自分で決定する為大きな影響はありませんが、色々な投資家がニュースやイギリス・EUの情勢に敏感になっているので、大きな売りや買いによって強いトレンドが発生しやすくなることが予想されます。

別の記事で紹介しているJiros_golden_outside無料分析ツールもそうですが、逆張りでのトレードをしている方は一方的な値動きが発生しても追いかけることなく冷静に対応することが必要になってきそうです。

いずれにしても、イギリスの動向については今後のEUの他の諸国にも関係してきたりと世界で注目されています。

純粋にテクニカルトレードだけでトレードしているので関係ないという人もいるかもしれませんが、特にFXをしている方はポジション管理は注意したほうがいい局面かもしれません。

あかねあかね

イギリスも色々な問題があるんだね。バイナリーオプションをする時は熱くなってトレードしないように気を付けます!


ジロージロー

うん。なんかチャートの動きが変だな。と思ったらいったんトレードをやめたりしたほうがいいね。こういった世界の経済についても投資をしながら勉強していこう♪